もとはチェーンメールから。
2002年2月23日私は認知心理学について特に勉強したことのない素人ですし、だいたい常識に近いことなのでわざわざ書くまでもないのですが。というかあまりに乱暴すぎる話なので特に最初は読み流して頂きたいのですが。(^^;;
2桁や3桁の簡単な整数ならいざ知らず、人間は非常に大きく抽象的な、もしくは微小な数値をそのままの形で出されても理解しにくい、という性質があります。何となく頭の中で想像はしてみても実感を持てない。この場合、数値を具体的にイメージするのに有効な方法として「数値を単純化する」「一部分を取り出して例示する」「数値の相対化・対数化」などの方法が挙げられるでしょう。
例えばアメリカの同時テロ事件。全被害者の総数を実感を持って把握出来た人はそういないはず。むしろ「ビルに突っ込んだ旅客機には□人の客が乗っていた」「○階のフロアには△人が取り残されていた」という個々の事実を取り出し、逃げ遅れてビルから飛び降りるたった一人をクローズアップした方が事件の本質をより直接的にイメージ出来るはず...ってこれは単純すぎる頭を持つ私だけですかそうですか。
その意味において、ここ数ヶ月のベストセラー『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)は、本来は抽象的にすぎる世界の現実を単純化した図式で切り取り、かつ筆者が意図するところを非常に直感的な形で提示してのけた好著だと思います。その代わり、代償として現代世界が決して逃れることの出来ない「複雑さ」をも切り捨てることになりましたが...それは別の本でフォローすればよいだけの話。むしろ、読む側が自覚してフォローすべき話。
ま、私個人としてはあんな薄っぺらい本にお金を払う気にはなりませんでしたがね...(もちろん立ち読みで済ませた)
* * *
いや、私が書きたかったのはそんな偉そうな話ではなくて。つまりですね。この手の本が流行ると必ず本屋の店頭に出現する「二匹目のドジョウ」、日本の出版業界におけるあの風潮はいい加減にどうにかして頂きたいのですが。そう、今回の場合は吉田浩『日本村100人の仲間たち』(日本文芸社)のことです。
いくら商業主義の金儲けのためとはいえ、こんなオリジナリティの欠片もない本を書いていて恥ずかしくないですか? と私は著者に聞きたい。出版して恥ずかしくないですか? と出版社に問いたい。ま、出版するのは勝手といえば勝手なのですが、何だか読者を不当に低く見られているような感じがして気にくわないのですよ...そんなに馬鹿じゃないはず、なのに。むぅ。
コメント