東浩紀編著『網状言論F改』(青土社)をやっとのことで読み終わり。しかも二度三度と読み直してみたり。

本書は主に、副題にある「ポストモダン」と「セクシュアリティ」の二つの問題系を切り口に現在のオタク系文化を検証し、各執筆者の立場から論じていくもの。「萌え」あり「ギャルゲー」あり「でじこ」あり、とネット世界に頭の先までどっぷり漬かっている(けれども「エヴァンゲリオン」は見たことない)私には非常に楽しめる内容でした。

ただ、どんなに丁寧に読み進んでも何度読み返してみても、著者らが全体を通して用いている哲学的・社会学的な「評論用語」の正確な意味を曖昧にしか把握できなくて。そんな自分に対して非常にいらつきます。

文章は読み手に「読んで頂くもの」なので、分かりやすく、かつ独りよがりにならないようにするのは当然なのですが、それと読者に対して不要におもねたりレベルを下げたりすることは全くの別問題。「自分」が興味を持った書物に対し、そこで中心的な役割を果たしている用語を理解できないというのは読み手の勉強不足に過ぎないのです。時間に余裕のあった学部生時代や、ここ数年の「空白の時間」に少しでも哲学や論理学を勉強しておくべきだったと激しく後悔。

ただでさえ脊髄反射して感情論に走りがちな私のこと。せめて、哲学的思考の欠片程度でも勉強しておかないと、論理的かつ説得力のある文章を書くなんていつまでたっても望めません。

幸いにしてまだ一年間の猶予があります。
だから、せめて今年くらいは。

思い立ったが吉日。ということで、とりあえずプラッツ近鉄の旭屋書店で東浩紀著『郵便的不安たち♯』(朝日文庫)を購入。ついでに岡本裕一朗著『異議あり!生命・環境倫理学』(ナカニシヤ出版)も。

  *  *  *

同時に、池内了『化学を読む楽しみ』(洋泉社新書y)も読了。池内先生の文章にはもうベタ惚れです。やっと目標が出来たという感じ。
こちらの感想というか書評モドキは某紙媒体に書く予定。


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